フォーラム・ポーランド Forum
“POLSKA”
2012年度会議 「ポロネーズをめぐって」
Konferencja
2012: Wokół poloneza
„Poloneza czas zacząć - Podkomorzy rusza
/ I zlekka zarzuciwszy wyloty kontusza,
I wąsa podkręcając, podał
rękę Zosi / I skłoniwszy się grzecznie, w pierwszą
parę prosi.”
(A. Mickiewicz, Pan
Tadeusz)
フォーラム・ポーランド2012年会議プログラム(pdf)
日 時: 2012年12月8日(土)
10:30-17:00
場 所: 駐日ポーランド共和国大使館多目的ホール(予定収容人数120名)
主 催: NPO法人フォーラム・ポーランド組織委員会
後 援: 駐日ポーランド共和国大使館(大使館住所・地図) ポーランド広報文化センター
会 費: 2000円(学生1000円)
懇親会: 銀座ライオン アトレ恵比寿店
言うまでもなく、ポロネーズはポーランドの代表的な民族舞踊のひとつである。ショパンの「英雄ポロネーズ」や「幻想ポロネーズ」を�奄゚として、日本人に広く知られているポロネーズも少なくない。しかし、こうしたポロネーズはあくまで様々なポロネーズの一面に過ぎない。
歴史的にみると、ポーランド史やヨーロッパ史の各時代において、「ポロネーズ」は様々な形で受容されてきた。ルネサンスやバロック時代の「ポロネーズ」の意味は現代のポロネーズとは少し異なっていた。国家消滅直後、18世紀末から19世初めにかけての「ポロネーズ」は、祖国の回顧と祖国解放と強く結びついていた。また、ロマン派時代の「ポロネーズ」、ロマン派以後の「ポロネーズ」、現代のポロネーズが表象するものは、時代や社会を反映してそれぞれ異なっているといえよう。
今回の会議では、このような「ポロネーズ」がもつ多様性をめぐって、4名の研究者がそれぞれの専門から講演し、あるいは演奏する予定である。
これらのポロネーズをめぐる多面的な講演やピアノ演奏を通じて改めて、「ポロネーズ」のもつ普遍性とポーランド性を考えてみたい。
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総合司会: 重川 真紀 (フォーラム・ポーランド事務局) |
10:30-10:40 |
挨拶 ツィリル・コザチェフスキ駐日ポーランド共和国大使 |
10:40-10:50 |
開会の辞 白木 太一 (大正大学教授) |
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10:50-11:50 |
黒坂 俊昭(くろさか としあき/相愛大学 音楽学部教授)「ルネサンス期・バロック期におけるポーランド音楽の西欧音楽への影響」 |
11:50-12:50 |
平岩 理恵(ひらいわ りえ/桜美林大学オープンカレッジ講師、特定非営利活動法人フォーラム・ポーランド組織委員会事務局長)「ポーランド文化史におけるポロネーズの機能的変容
〜舞踊から象徴へ〜」 |
12:50-13:50 |
記念撮影&昼食 |
13:50-14:20 |
映像で観るポロネーズ(ビデオ上映) |
14:20-15:20 |
西田 諭子(にしだ さとこ/お茶の水女子大学大学院博士後期課程)「ポロネーズからファンタジーへ――ショパンのポロネーズの調性に関する考察」 |
15:20-15:50 |
ティータイム |
15:50-16:50 |
小早川 朗子(こばやかわ ときこ/桜美林大学芸術文化学群音楽コース専任講師、東京芸術大学附属音楽高校非常勤講師)「19, 20世紀の器楽曲としてのポロネーズ 〜ピアノ作品を中心として〜」 |
16:50-17:00 |
おわりに 田口雅弘(岡山大学大学院教授、NPO法人フォーラム・ポーランド組織委員会代表) |
18:00-20:00 |
懇親会(於:「銀座ライオン」アトレ恵比寿店) |
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撮影: 佐々木健太郎(東京外国語大学国際社会学部) |
講演者紹介と講演要旨
講演1 黒坂 俊昭 (くろさか としあき/相愛大学 音楽学部教授) 「ルネサンス期・バロック期におけるポーランド音楽の西欧音楽への影響」 1978年大阪大学文学部美学科卒業、1987年大阪大学文学研究科博士後期課程(音楽学)単位取得退学。1988年より相愛大学音楽学部専任講師、1995年より現職。専門はヨーロッパ音楽史。 ポーランド音楽と西欧音楽との関係と言えば、西欧音楽からポーランド音楽への影響ばかりが語られますが、ポーランド音楽から西欧音楽に与えた逆方向の影響は存在しなかったのでしょうか? まずは、仮説の段階ではありますが、ルネサンス期までのポーランド音楽が西欧音楽に及ぼしたと思われるいくつかの特徴を紹介し、西欧音楽一辺倒のヨーロッパ音楽史にポーランド音楽の功績を記したいと思います。続いて、バロック期では西欧音楽でalla polaccaやpolonaiseといった音楽標語が用いられるようになるのですが、その名称がどのように理解されていたかについて類例を基に考察してみようと思います。 |
講演2 平岩 理恵(ひらいわ りえ/桜美林大学オープンカレッジ講師、特定非営利活動法人フォーラム・ポーランド組織委員会事務局長) 「ポーランド文化史におけるポロネーズの機能的変容 〜舞踊から象徴へ〜」 東京外国語大学大学院博士前期課程修了。ポーランド政府給費奨学生としてワルシャワ大学史学部音楽学研究所に留学(2001〜03)。ポーランドの舞曲、作曲家スタニスワフ・モニューシュコを中心とした19世紀ポーランド音楽史を研究。ポーランド語通訳・翻訳家、ポーランド語講師として活動する一方、ライフワークとしてフルート、フラウト・トラヴェルソの演奏活動や音楽史研究も継続している。共訳書に『ショパン全書簡 1816〜1831年――ポーランド時代』(岩波書店、2012)がある。 ポーランドを代表する舞曲として広く知られているポロネーズですが、詳しい起源や変遷の歴史について解明されていない部分もまだ多く残されているのが実情です。現在明らかになっている点、そうでない点を整理しつつ、民族舞踊として、宮廷舞踊として、楽曲様式として、芸術音楽として、様々な顔を持つポロネーズの、それぞれの特徴と相互の関係性について概観してみましょう。続いて、ポロネーズが最も盛んに作曲された三国分割期のポーランドで、器楽曲だけでなくオペラや文学作品でもこの舞曲のモチーフが好んで用いられた様子について、具体例をご紹介しつつ、ポーランド文化においてポロネーズが担うことになった一種の象徴としての機能について考えていきたいと思います。 |
講演3 西田 諭子(にしだ さとこ/お茶の水女子大学大学院博士後期課程) 「ポロネーズからファンタジーへ――ショパンのポロネーズの調性に関する考察」 国立音楽大学(ピアノ専攻)卒業後、ポーランド国立ショパン音楽院研究科に留学。お茶の水女子大学大学院博士前期課程修了。現在、お茶の水女子大学大学院博士後期課程在学中。研究テーマはショパンの作品の調性構造。共訳書に『ショパン全書簡 1816〜1831年―ポーランド時代―』(岩波書店、2012)。 ショパンのポロネーズの多くは明確な形式と調性構造を持つが、そこには主調の単一的支配という古典的枠組からの逸脱の徴候も見出される。本講演ではショパンのピアノ独奏のためのポロネーズのうち彼の生前に出版された7曲について、主に調性構造と特�閧フ音高の強調との関係に着目しながら分析した結果を紹介する。特にショパンの最後のポロネーズである《ポロネーズ・ファンタジー》作品61については、そこに見られる、2つの調性領域の並置という現象を、即興と密接に結びついた「ファンタジー」というジャンルと関連づけながら説明し、ショパンのポロネーズを調性音楽の歴史の中に位置づけることを試みる。 |
講演4 小早川 朗子(こばやかわ ときこ/桜美林大学芸術文化学群音楽コース専任講師、東京芸術大学附属音楽高校非常勤講師) 「19, 20世紀の器楽曲としてのポロネーズ 〜ピアノ作品を中心として〜」 東京芸術大学附属音楽高校、同大学を経て、同大学大学院修士課程入学。ワルシャワ・ショパンアカデミーの研究生として2年間のポーランド留学の後、復学。修士課程ピアノ科首席卒業、ドコモ賞受賞。その後同大学院博士課程に在籍し、博士号(音楽)取得。ポーランド・アントニンにて、留学生のためのショパンピアノトーナメントでグランプリ、特別賞受賞。パリ国際マギンコンクールにて一位、およびジャーナリスト賞受賞。 19, 20世紀には様々な作曲家が純粋な器楽曲として多くのポロネーズを作曲しています。時代によってそのスタイルの違いはあったのでしょうか。楽曲に込められた作曲家の思いなどを分析しながら、ポーランド人作曲家によるポロネーズを音源や演奏を交えて多数紹介していきます。 |
この会議はNPOフォーラム・ポーランド組織委員会個人賛助会員および以下の法人賛助会員の温かいご支援を受けています。 ・在大阪ポーランド名誉総領事館 http://www.polinfojp.com/kansai/consgen.htm ・三立化成株式会社 http://www.sanritsu-che.co.jp/ 三立化成は、電子部品、電子材料の専門商社としてポーランドを含め国際的に活動。液晶、半導体、プリント配線板等を中心に、装置から部材までをトータルに提供しています。 |
<事務局> 〒700-8530 岡山市津島中3-1-1 岡山大学大学院社会文化科学研究科 田口雅弘研究室内 フォーラム・ポーランド
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