フォーラム・ポーランド Forum “POLSKA”

Konferencja 2005: “Powrót do Europy

2005年度シンポジウム「ヨーロッパへの回帰」報告要旨・資料


「《ヨーロッパ回帰》の経済・社会的軋轢」

 

田口雅弘(岡山大学経済学部助教授)

 

 

  ポーランドが、1980年代の国家破綻ともいえる経済状態からわずか20年あまりでEU加盟を果たしたことは、ポーランド現代史の中でも特記できる輝かしい成果といえるだろう。1989年以降のショック療法を伴った体制移行は、国民に大きな負担を背負わせたものの、ポーランド経済を安定成長軌道に乗せ、ヨーロッパへの早期回帰を実現させた。

 しかし一方で、EU加盟を急いだ結果、経済・社会に多くの歪みが生じ、困難な課題が山積みされたまま残されることとなった。積み残された課題とは、急速な産業構造転換による歪み、高失業率、国内の深刻な地域格差、機能しない新しい国家諸制度、財政赤字、政治的混乱、などである。長期的にはEU東方拡大がポーランドを含む中東欧諸国の安定的成長にとって大きなステップとなることは間違いないが、中・短期的には、積み残された課題の処理を誤れば、構造的歪みを将来に残すだけでなく、再び経済・社会が不安定化することも十分にあり得るといえる。

 本報告では、こうした急激な体制転換で生じた経済・社会的歪みに焦点を当てて、ポーランドが抱える新たな課題を明らかにする。

 

 

報告資料(配付資料)

 

報告資料(プレゼンテーション資料)

 

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